header_info.jpg 高知県立のいち動物公園
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レッサーパンダのハズバンダリートレーニング

*トレーニング開始

*7月〜1月

しっぽでいきましょう 2015年7月
採血を想定して脚を握るトレーニングを続けています。前肢はリンゴを食べるのに使用しているため、後肢を握ることに慣らし、2頭とも気にしなくなりました。
獣医にトレーニングの様子を見てもらったところ、レッサーパンダの顔から距離のある尾からの採血の方が安全におこなえそうということで、脚から尾を握るトレーニングに変更しました。触られることにはかなり慣れてきていたため、脚から尾に変わっても気にしなくなるのにそれほど時間はかかりませんでした。

新アイテムと新メンバー 2015年8月
「新アイテム」
今回のトレーニングの一番大きな目標は採血をおこなうことです。そこで注射を想定してシリンジ(針のない注射器)を尾に当ててみました。2頭とも全く気にしないので、今度はシリンジの中に竹串を仕込んで刺激してみます。カイちゃんは少し強めに当てるとモゾモゾと動いてしまうことがあります。カイ君はヒトが「ちょっと痛いな」と感じるくらいの強さで竹串を当てても全く気にせずリンゴを食べ続けています。総じてレッサーパンダはヒトより痛みに強い(鈍感?)ようです。
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「新メンバー」
私たち飼育係は複数の動物を担当しシフト制で働いています。休みの日は自分の代わりにパートナーの飼育係が動物の世話をしており、同じヒトが毎日トレーニングをするのは困難です。そこでレッサーパンダに関わっている飼育係3名、誰でもトレーニングができるよう、ヒトの変化に慣らしていきました。今まで行ったトレーニングと比較してヒトの変化に慣れるまでには少し時間がかかりました。「あれ?おまえも寝室に入ってくるのかよ!?」と新たに加わった職員の時は警戒していました。しかし、更に新たにもう1人と増えていくと「あーあんたも入るのね。」と新しくメンバーが増えるごとに徐々に気にしなくなるようになりました。


複数の職員がトレーニングできるようにすることは、毎日トレーニングをおこなうためでもありますが、他にも理由があります。動物の飼育担当者は変わることもあり、トレーニングをおこなってきた動物と全く関わらなくなることもあります。複数の職員がトレーニングをおこなえるようにしておくことで、誰かが担当を離れても、他に経験している職員がいれば、トレーニングを継続し、新しい飼育係は確実に手技を引き継ぐことができます。レッサーパンダにとっても職員にとってもせっかくできるようになったトレーニングを無駄にしないためにとても重要なことです。


獣医さん登場 2015年9月
これまで飼育係がトレーニングをおこなってきましたが、実際に採血をするのは獣医です。
トレーニングで
・ヒトが寝室に入る
・尾(脚)を握る
・竹串で刺激する
ということができるようになっていたため、獣医も参加してもらうことにしました。8月の時点で新たにメンバーが加わることに慣れていたことからトレーニングは停滞することなく、スムーズに進められました。

またまた新アイテム 2015年10月
獣医とトレーニングを開始してみると、寝室が薄暗く採血をする時、手元が見にくいとのことだったので、手元照明を設置することにしました。最初は点灯せずに置くだけにし、慣れてきたらカイ君、カイちゃんから離れたところで点灯し、徐々に近付けることで2頭とも警戒しなくなりました。
また採血する前に消毒するアルコール綿花(通称:アル綿)への慣らしもおこないましたが、こちらは2頭とも全く気にせずリンゴを食べ続けていました。
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アル綿

本番を見据えて 2015年11月
実際の採血を想定して、強めに竹串で刺激(想定:針を刺す)してから弱い刺激(想定:針を刺したまま採血中)を与え、姿勢を維持するトレーニングをおこないました。徐々に刺激を与える時間を延ばしていき、採血するのにかかる時間、姿勢を維持するトレーニングできるようになりました。

尾からの採血 2015年12月
カイちゃんで尾からの採血を試みました。実際におこなってみると、尾の血管を探し当てるのが難しくうまくいきませんでした。そのため、他園でも多くおこなわれている脚(後肢)からの採血に方法を変更し、トレーニング方法も変更して再開しました。
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作戦変更 2016年1月
後肢からの採血は、飼育係が駆血(血管を浮き上がらせる)をし、獣医が採血という具合に2名で寝室に入っておこないました。2名で寝室に入ると、寝室の構造上レッサーパンダとヒトの距離が近くなるため、双方の安全のために間にアクリルの盾を設置することにしました。透明とはいえこれまでの新アイテムより大きく、顔の近くに設置されるので2頭とも慣れるのには少し時間がかかりました。しかし、ハズバンダリートレーニングの目的は「動物もヒトも安全に」なので、万が一の事態にも備えが必要です。
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透明の盾と手元照明

また脚は尾と違って深い毛に覆われているため、より確実に血管の位置を特定するために、剃毛して採血することにしました。バリカンの音はかなり大きいように思ったのですが、意外にもこちらは2頭ともあまり気にすることなく、2回目のトレーニングでは後肢にバリカンを当てることができるようになりました。これまでのトレーニングで次々に登場する新アイテムに2頭が段々慣れたせいもあるかもしれません。
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バリカン

*トレーニング開始

*7月〜1月

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