写真コンテスト

第33回写真コンテスト入賞作品と講評



金賞 キング

撮影者/山﨑 愛子さん

応募作品の中で最も多く撮影された動物が、このスナドリネコでした。その中でも目を引いたのが、真正面からアップで捉えたこの作品でした。画面いっぱいのトラ柄(トラではないのですが)の中で浮き上がる表情。キッとこちらを見つめる瞳が印象的で、写真に吸い込まれるような魅力があります。シンプルな色使いと、左右シンメトリーの構図も効果的です。


 



銀賞 見える,見える,未来が見える

撮影者/德廣 淳子さん

動きのシンクロした白と茶色のシロテテナガザル。ポーズの面白さだけでなく、構図や光線状況など、練りに練られた作品です。少し傾いた日に照らされた2頭の毛のきらめきからは、寄り添う2頭の優しさを感じるとともに、背景の青空との対比からは、生き物の命が持つ力強さも感じます。


 



銀賞 飛翔

撮影者/青木 大祐さん

ハシビロコウは写真展ではよく見かける被写体ですが、この作品は写真の基本、「構図」「ピント」「露出」と3点よく整い撮影されています。
また、左寄りの構図、くちばしの色、質感等、この鳥の特長をよく捉えた力強い作品となっています。


 



銅賞 歩み

撮影者/間島 裕子さん

くっと顔を上げ、キラリと光るアカアシガメの瞳は、何かしらの決意すら感じられる表情。のっしのっしと地響きが聞こえてきそうな力強さを感じます。カメよりも下の位置から、ぐっと近寄ったことでピントも浅くなり、まるで、砂漠や火星のような異世界感を演出しています。


 



銅賞 おいしいのひとりじめ

撮影者/内海 清文さん

口いっぱいの4本の赤いニンジン、チンパンジーの黒い体毛が好対照となり、非常に引き立って印象に残ります。どのように口に入れただろうか、また、食べる時はどのようにして食べただろうかと、想像が膨らみます。ニンジンは甘くておいしいので、ひとりじめしたい気持ちもわかります。
ちょうど、ニンジンと手、光線状態も良く、魅力ある、見て楽しい作品となっています。


 



銅賞 ピーマンは大人の味

撮影者/田町 浩一さん

チンパンジーはピーマンが好物だろうか。群れの仲間の大人と子どもが手に持っているピーマンの緑が鮮やかです。大人が子どもに「おいしいピーマンが来たよ。食べようか。」と話しかけている様子がうかがえます。また、大人の表情から愛情、優しさが感じとられ、ほのぼのした心が和む作品になっています。


 


第33回写真コンテスト概要



募集期間 令和6年5月1日(水)〜7月28日(日)
応募作品の内訳 応募総数  320点
応募者数  142名
年齢層  9~92歳
入選作品    61点
金 賞 1作品
銀 賞 2作品
銅 賞 3作品
審査員特別賞 10作品
入 選 45作品
展示期間 令和6年9月15日(日)〜11月4日(月・振休)
審査員  (敬称略、順不同)
杉野 節子:写真家
佐藤 邦昭:高知新聞社 地域報道部 香長総局長(関西写真記者協会 幹事)
本田 祐介:高知県立のいち動物公園園長

全体講評


 「のいち動物公園写真コンテスト」は、皆様のご支援のお蔭をもちまして今年で第33回を迎えることができました。
 今回はこれまでのコンテストの応募者数を大きく上回る142名320点の作品が集まりました(昨年は83名215点)。年齢層も9歳から92歳までと幅広く、学校単位の応募もあったとのことです。若いみずみずしい作品から、手練れた円熟味のある作品までバラエティに富んだ作品の数々でした。
 どの写真も一瞬の表情や情景を逃さずに撮影しており、迫力のある作品ぞろい。目にも鮮やかな羽の造形、むき出しになった鋭い牙、ぐるりと曲げた長い首…。それぞれの動物特有の体の動きや、模様など、可愛さやたくましさを巧みに描写しています。また、ガラスや檻、展示スペースなど撮影ポイントに制約の多い中で、最適な撮影ポイントを見つけ出していました。ただ、タイミングは良いものの、ピントが甘かったり、構図に無駄が多かったりする作品や、写っているものは良いのにプリントで失敗している作品が少なからず見られ、磨けば光る作品が多くありました。
 これからもぜひお気に入りの動物のもとへ通い、楽しみながら写真を撮ってください。