第29回写真コンテスト入賞作品
金賞 トライ!
撮影者/ 北 清二郎さん
口にくわえただけでなく、小脇にも抱え込んだエサの小魚がラグビーボールのように見えて、昨年のワールドカップのラグビー日本大会を思い出します。タイトルもばっちり。カワウソ君の人間臭さを捉えたところがユニークですね。
魚をくわえ、横抱きにして水から上がってきたこんな瞬間というのは、よくあることではありません。ある程度動きを予測してカメラを構えてねらって、そして偶然が普通でしょうがまだ水が滴り落ちる瞬間が撮れているというのは、きちんと写真を撮る力量があり、撮り慣れている作者であると受け止めました。勘が鋭くスナップショットの上手い、手慣れた作者でしょうね。
銀賞 ファミリー
撮影者/ 横山 豊さん
シロテテナガザル3頭が三様の顔を見せています。表情がそれぞれ豊かで、画面いっぱいに同じようなポーズで横並びした明るい家族、しかも真ん中には白い子ザルが抱きついているのにもご注目。
人間を撮影する場合は手先を切らないようにと指導する場合がありますが、手足が長いシロテテナガザルを望遠レンズで大胆にねらっており、手足が切れていることがかえって印象の強い写真となりました。最近の混沌とした人間社会に向けて、シロテテナガザル一族からのなにかしらメッセージが感じられるような作品です。
銀賞 快晴!
撮影者/二木 大輔さん
カワウソのプールをガラス越しに水面下から見える場所で、広角レンズをガラス面にぴったりくっつけて眺めると、動物も背景も画面におさまり、こんな楽園のような映像を撮ることができるのですね。
上部の木々の背景や明るい日差しをモニターでしっかり捉え、カワウソが来た瞬間を撮影したタイミングの良さ。ガラス越しでゴミや汚れもあったでしょうが、画像処理も良く、プリントの仕上がりもきれいです。光の読みも良いし、シャッターを押すタイミングも素晴らしい。
銅賞 祈り
撮影者/和田 智子さん
時間をかけてこの一瞬の仕草を捉えたのでしょうか。ビントロングがまるで手を合わせて瞑想しているように見えます。今の新型コロナ流行の世相に合うような思いを作者はタイトルに託したのでしょう。
写真の撮り方に飾り気はあまりありませんが、こういう作者は新鮮な観察眼を持ち新しい発見も見逃さない、原石のような存在ですね。
銅賞 草原のギャロップ
撮影者/蔭山 純由さん
動物って素晴らしいバランス感覚を持っていると思える写真になりましたね。たまたま動物園に来た時にこういうシーンに出会うのも幸運でしょうが、それを新鮮に感じて撮っています。
キリンは大き過ぎるせいか、全身ではなく首から上の表情を捉えたショットがコンテストに良く出てきます。キリンが全身を使って駆けるこのような瞬間を捉えた写真は今までにはなかったように思います。
銅賞 お母さん足だよ!
撮影者/中澤 都志子さん
この夏には、初めてお母さんになったマンドリルの母親と子どもが公開されました。日に日に子ザルは成長して、母子ともにタイミングの良い狙い通りの写真はなかなか撮れないものです。
この作品は作者のシャッターを切るまでの過程が見えるようで、タイトルで笑えます。手だと思って抱き込んだのが「母さん それワタシの足だよ!」と言っているような作品になりました。
写真コンテスト概要
募集期間 | 令和2年6月1日(月)〜7月31日(金) |
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応募作品 の内訳 |
応募総数 153点 応募者数 60名 年齢層 6〜78歳 入賞作品 61点 |
賞 | 金 賞 1作品 銀 賞 2作品 銅 賞 3作品 審査員特別賞 10作品 入 選 45作品 |
展示期間 | 令和2年9月6日(日)〜11月3日(火・祝) |
審査員 | (敬称略、順不同) 岩崎 勇:写真家 森 一公:高知新聞社地域報道部 多々良 成紀:高知県立のいち動物公園園長 |
全体講評
今年は例年と異なって新型コロナウイルス流行の影響が大きく、恒例の5月の撮影会は中止、さらに長期の休園ということもあってコンテストの開催を危惧していましたが、みなさまの変わらぬ熱意と動物たちに寄せる思いのお陰をもちまして、無事開催の運びとなりました。感謝申し上げます。
応募点数は前年より約80点少なく、応募者も40人ほど減少しましたが、内容は例年に劣らずハイレベルで、作品選考では良い写真が多く残り、入選作品の選定に悩まされました。新聞の見出しのようなタイトルなどもたくさんあって、楽しく拝見、審査できました。
最近の動物写真の傾向としては、それぞれの動物をよく学習、観察してねらいの利いた人や、偶然の出会いでも確実にモノにすることができる技術と勘に長けた人が多くなりました。また被写体としては、人気者の動物に片寄ることなく、多くの動物たちが登場するようになってきました。
みなさま、それぞれ自分に合った好きな動物探しをしてください。そして素敵な出会いと幸運とでこれからもたくさんの作品をお待ちしています。