第32回写真コンテスト入賞作品と講評
金賞 大ピンチ!
撮影者/太田 和子さん
ツメナシカワウソのなんともコミカルなこの表情。そして左手で頭を抱えるようなしぐさ。見開いた真ん丸な目と大きく開かれた口。まさにタイトル通りのセリフがぴったりで、何があったのだろうと心配しつつも、そのコミカルさに思わずクスッと笑ってしまいます。
偶然の出会いか、またはじっくりとタイミングをうかがっていたのか、とても良いシャッターチャンスで撮れています。このようなコミカルな表情は、なかなか撮影できるものではありません。トリミングの仕方や光線状態も良く魅力あふれる大変優れた作品です。
銀賞 獲ったぞぉ~!
撮影者/山中 正光さん
ハシビロコウがエサのドジョウをパクッと口に入れる、絶妙なタイミング。お見事です。おそらく、かなり腰をすえてシャッターチャンスをうかがっていたのではないでしょうか。
さらに、手前に生えている草のぼかし具合によって、動物園ではなく、まるで自然の中で撮影したような臨場感のある力強い作品となっています。
銀賞 このリンゴ、最高においしい!
撮影者/野中 優子さん
レッサーパンダがまるでウィンクしているような愛らしい表情。舌のピンク色がより一層その愛らしさを際立たせています。好物のリンゴをつかんで食べていますが、ビスケットのようにも見えます。木の葉の緑色も綺麗で爽やかです。
レッサーパンダの表情に「おいしい!」という感情が感じられ、撮影者の愛情あふれる作品となっています。
銅賞 夢中遊泳
撮影者/弘田 利文さん
フンボルトペンギンの水槽をガラス越しに撮影しており、ペンギンの体の回りの空気の泡がキラキラと輝くさまが非常に美しく見る者を引きつけます。光の入り方も良く、水の色も綺麗で、まさに夢の中にいるような幻想的な雰囲気を醸し出しています。
偶然撮れたものではなく、じっくり腰をすえてシャッターチャンスを伺っていたのではないでしょうか。
銅賞 ピーマン大好き
撮影者/三本 幸子さん
チンパンジーが抱えているピーマンの緑色が鮮やかで、体毛の黒色と好対照となり、非常に引き立っています。それでいて背景の植物の色が柔らかで、優しい雰囲気に包まれています。
目に光が入り美しく、ピーマンを口に入れながらどこかを見つめる表情が、見る側に何かを感じさせる作品となっています。
銅賞 白黒つけよう
撮影者/有賀 隆造さん
光線状態の良さとグラントシマウマの縞模様、そして力強い構図で、アート作品のような出来映えとなっています。向かって右側から差し込む光で、シマウマのまつ毛や鼻の回りの細かい毛まで美しく光っています。
カラー写真でありながらモノクロのように感じられ、非常に重厚感のある良い作品に仕上がっています。
第32回写真コンテスト概要
募集期間 | 令和5年5月1日(月)〜8月1日(火) |
---|---|
応募作品の内訳 | 応募総数 215点 応募者数 83名 年齢層 9~88歳 入選作品 62点 |
賞 | 金 賞 1作品
銀 賞 2作品
銅 賞 3作品
審査員特別賞 10作品
入 選 46作品 |
展示期間 | 令和5年9月10日(日)〜11月5日(日) |
審査員 | (敬称略、順不同)
岩崎 勇:写真家
反田 浩昭:元高知新聞社写真部長
塚本 愛子:高知県立のいち動物公園園長 |
全体講評
「のいち動物公園写真コンテスト」は、皆様のご支援のお蔭をもちまして今年で第32回を迎えることができました。
応募総数215点・応募者数83名で、9歳から88歳のベテランまで幅広い年齢層の方々からご応募いただきました。今年も昨年に引き続き若年層から多くの応募があり、親子で応募される方も年々増えてきています。嬉しい限りです。ご応募いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
応募作品は、タイトルやアングルもそれぞれ個性的でバリエーション豊か。動物たちへの愛情にあふれた多彩な作品の数々に、楽しく審査させていただきました。
金賞、銀賞は甲乙付けがたく、いずれも良いシャッターチャンスで撮れています。動物写真は、行ってすぐに撮れる場合もありますが、概ね、好きな動物のところへ何度も足を運んで、なおかつしばらく腰をすえてじっくり撮ることが大事な場合が多いと思います。
撮影者の思いは作品に表れます。写真の上手下手だけではなく、撮影者の思いや愛情が伝わる作品となるように、根気強く“推し”の動物のところへ通ってみてはどうでしょうか。動物たちのありのままの姿に、きっと出会えると思います。
また、親子で来園される方は、ぜひ何度か足を運んでいただき、親子で動物たちとの対話を楽しみながら撮影するのも良いのではないでしょうか。
これからも、みなさまそれぞれ楽しみながら、さまざまな瞬間を撮影していただければと思います。