「チンパンジーたちの1日~午前編~」
チンパンジー
当園のチンパンジーは日中屋内外の展示場で思い思いに過ごしています。餌を食べたり寝転んでくつろいだり、他の個体とグルーミング(毛づくろい)をしたり、表情豊かな姿を見ることができます。
一方で、時々来園者から「夜はどうしているの?」「裏側はどうなっているの?」というご質問をもらうことがあります。そこで、獣舎の中など皆さんが普段見ることができない場所も含めた、当園のチンパンジーたちの1日についてご紹介します。今回は午前編です。
まずチンパンジーたちは獣舎内の寝室で朝を迎えます。大体9時ごろに担当の飼育係が部屋の電気をつけながら声をかけ、挨拶をします。チンパンジーは社会性が高く関係性を重んじる動物なので、この朝の挨拶で互いに顔を見せ、意思疎通をはかることはとても重要です。この挨拶の時点で起きている個体もいれば、布団代わりの麻袋の上でまどろんでいる個体もいます。
チンパンジーとヒトは同じ空間に同時に入ることができないので、彼らが展示場に出てきていない間に展示場の準備をします。朝の餌を隠したり、人工アリ塚にジュースを仕込んだり、危ない箇所がないか安全確認などを行います。
展示場の準備が完了したら、各個体とコミュニケーションをとりながらトレーニングをします。手や足、頭、胸、背中、お尻(陰部)を見せてもらうように指示を出し、怪我や異常がないかチェックします。必要があれば餌に仕込んだ薬を手渡して飲んでもらうこともあります。
チェックが全頭終わったら、展示場へ順番に移動していきます。チンパンジーたちが展示場へ移動するときは、私たちの足の下を通り抜けるトンネルのような構造「シュート」を通ってもらいます。外が雨だったりすると出たがらないので、出てくれるまで待ったり、時には大展示場に出てもらうのは諦め、屋内で過ごしてもらったりします。大展示場に出るかどうかは本人たちの気分にできる限り合わせます。
た別の機会に詳しくお話ししようと思いますが、のいちのチンパンジー全10頭のうち、1頭だけ屋外の大展示場に出ない個体がいます。脳性まひで生まれつき右半身に運動障害がある「ミルキー」です。この個体は現在別の個体との関係性構築のため同居練習を続けており、日によって「マヤ」や母親の「チェルシー」らと屋内展示場や運動場で同居をしている日もあります。そのため、この同居練習の日には、マヤたちは大展示の群れではなくミルキーと一緒に屋内で過ごすことになります。
全頭の展示場や他の部屋へと移動が完了すると、夜間に過ごしていた部屋を掃除していきます。部屋数が多く一部屋あたりも広いので、すべて掃除し終わるまでに1時間ほどかかります。
チンパンジーたちは朝展示場に設置した餌を食べ終わると、各々タワーの上や草地など好きな場所で好きなことをして過ごします。
土日祝は11時からお食事タイムがあるので、ヤムヤムキャッチャーにおやつを入れ、それを棒で取ってもらいます。このキャッチャーに来る個体はその都度違いますが、常連の個体がいます(ロビン、ダイヤ、コユキなど)。最近は最年少のアカルも挑戦しようと棒を差し込む様子が時々見られるようになりました。まだまだ上手に餌を取り出せるようになるまでには時間がかかりそうですが、頑張ってもらいたいですね。
現在当園の群れはアカルがオトナたちとコミュニケーションを取ることによって、群れ全体が活性化している印象があります。アカルがオトナたちにいたずらを仕掛けて怒られていることもあれば、取っ組み合いやくすぐり合いで大笑い(チンパンジーは「フハフハ」「ガハガハ」と声を上げて笑います)しながら仲良く遊んでいることもあり、アカルが群れ全体の活性剤のような役割を果たすことでコミュニケーションが活発になっているようです。当園のチンパンジーたちは午前中に活発に動いていることが多いので、観察には午前中、特に獣舎から出てきてすぐの10時過ぎ~11時半頃がオススメです。是非じっくり観察してみて下さいね。
次回は午後編をお送りしたいと思います。































