「チンパンジーたちの1日~午後編~」
チンパンジー
前回はチンパンジーたちの午前中の過ごし方を紹介しました。今回は午後編です。13時過ぎ頃、展示場に朝から出ているチンパンジーたちにお昼のおやつを渡します。渡すと言っても、当園の展示場の構造上、直接彼らに手渡すことはできないので、獣舎の屋上から展示場へ投げ込む形で渡します。おやつのメニューはその時によって様々で、季節物の野菜や果物、園内から採集してきた枝葉や木の実、これからの暑い時期には熱中症予防にフルーツ氷やジュース氷を入れるなどしています。
またハト餌(トウモロコシ、アワなど穀物類を混ぜた餌)や落花生など粒の小さいものも、広範囲にばら撒いて与えると、皆熱中しながら器用につまんで拾い、採食の時間を稼ぐことができるので重宝しています。できる限り彼らが飽きないよう、そして食べるのに時間がかかるように工夫するようにしています。
昼のおやつをひととおり食べ終わると、タワーの上や草地など気に入った場所でそれぞれ休み始めます。寝ころんだ個体を他の個体が毛づくろいしてあげたり、並んで横になり昼寝をしている姿もよく見られます。
この間に、飼育係は夜の餌の準備をします。寝室に置く餌を、それぞれのバケツに計りながら入れていきます。体格や年齢に合わせて量を調整しています。出来上がった餌は彼らが部屋に戻ってくる時間までにそれぞれの部屋に入れて準備しておきます。
サツマイモやトマトなどの野菜、リンゴやバナナ、ペレットなどいろいろな種類の餌を計量して個体ごとにバケツに入れておきます。年齢や性別に合わせて量が少しずつ異なります。カロリーの計算などはヒトとほとんど同じです。
16時過ぎ、チンパンジーたちに獣舎に戻ってもらいます。扉を開けるとシュートに1~2頭ずつ入って来るので、シュート内で仕切りながら、それぞれの部屋へ誘導し、入れていきます。朝の放飼の時と同様、この時も部屋に入りたがらなかったり、シュートを進んでくれなかったりすることがあるので、彼らのペースに合わせながら順番に部屋へ戻ってもらいます。
全頭寝室に入った後は、それぞれ夕方の餌をゆっくり食べます。その間に日中彼らが過ごした展示場の片付けをします。
余談ですが、この時に大展示場の斜面の上、タワーよりも高い位置から眺める景色が私はとても好きです。日中高いところで寛ぐ彼らも同じ景色を見ているのかな、などと考えたりします。
掃除をしている途中には、彼らが長時間過ごしていた箇所に野菜のヘタや落花生の殻、葉を食べた後の枝等が集まっているので、これらの痕跡探しをするのも面白いです。チンパンジーは草や枝などを集めた寝床を作る「ネスティング」をすることがありますが、その痕跡も各所で見つかります。
獣舎のチンパンジーたちがちょうど夕方の餌を食べ終えひと息ついたところで、朝と同様の健康チェックのトレーニングを行います。1日に2回も?と思うかもしれませんが、これは展示場に出ている間、見ていない時に怪我をしたり体調が悪くなっていないかを見るのと同時に、飼育係が彼らとコミュニケーションを取り、関わり合いを持つという意味もあります。
チンパンジーたちと飼育係の関係性は、少しずつコミュニケーションを取りながら築く必要があるので、毎日の積み重ねがとても大切です。トレーニングが終わると、いよいよ寝る時間になります。おやつの枝葉と寝床用の麻袋・タオルを渡して、彼らの1日は終了です。
2回に分けてチンパンジーたちの1日をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?彼らの1日の流れを知ったうえで、再び展示場で過ごす彼らを観察すると、また違った見方ができるかもしれません。































