【動物ブログ】飼育日記 ワオキツネザル「誕生日ラッシュ後半戦」
ワオキツネザル
あっという間に4、5月が過ぎ去ろうとしています。前回の記事に引き続き、誕生日ラッシュの後半戦、4・5月生まれ組のお祝いの様子と1年の振り返りです。
4月18日シイバ、20日にサンナ、30日にウテウテ、そして5月5日はノボリの誕生日と、例年この時期は毎週のように誰かの誕生日です。
現在シイバは姉のジュリと同居しているので、2頭揃ってケーキをプレゼントしました。シイバは当園で2013年に生まれ、最近ますます力をつけてきている個体です。3月にはウテウテとの間に子どもも生まれました。残念ながら子どもを拒絶したことで人工哺育となり、子どもとは離れて暮らしています。時々子どもと見合いしているものの、なかなかすぐに受け入れることは難しいのか、馴染むまでには時間が必要そうです。気長に見守っていきたいと思います。一方で、昨年から本格的に同居を続けているジュリとは良好な関係を築き、穏やかに暮らすことができているようです。オスとも良好な関係を気付けているシイバなので、将来子どもを含めた5頭の群れのリーダーになってほしいと願っています。
手前の小さいケージにシイバの子どもワカバがいます。ジュリ(左)とシイバ(右)との見合いを進めています。
サンナは母親のニイナと2頭で暮らしているため、こちらも2頭でケーキを堪能してもらいました。シイバたちと同様、芽吹いたばかりの野草や好物のフルーツを盛った、春のお花ケーキです。サンナは2021年生まれの4歳。あどけなさが残る一方で、体格は母親とほぼ同等となり、力をつけてきています。また別の機会にお伝えしますが、実は冬にミクとの見合い同居を進めていました。しかし、激しく闘争しミクが怪我をしてしまったため、しばらく見合い同居はお休みになっていました。サンナの上昇志向の強さゆえか、はたまた成長に伴う関係性の変化によるものか、原因は分かりませんが、いつまでも無邪気な子どもではないのだなと驚いたり反省したりの冬でした。諦めず、個体の関係や変化を観察しながら、慎重に再挑戦していきたいと思います。
ウテウテは2019年に生まれ、1歳の2020年に来園しました。これまでサンナ、ノボリ、今年生まれた子どもであるワカバと、繁殖に大きく貢献している個体です。冬に繁殖のため同居していたシイバと離れ、息子のノボリと同居していましたが、こちらも実は4月にノボリと闘争し怪我をしてしまったため、5月現在ノボリと再同居を目指す見合いを続けながら、単独で生活をしています。こちらもまた別の記事でお話したいと思います。かなり大きな怪我をしましたが、圧倒的な回復力を見せ、今では元気にたくさん食べて動き回ってくれています。今年生まれの息子ワカバと対面させると、顔を舐めてあげたりと優しい一面も見せています。ノボリ、ワカバとともにオス群をますます盛り立てて言ってほしい、こちらも期待したい個体です。

ノボリと闘争し、手術した直後のウテウテ。顔など複数箇所を負傷し、直後は意気消沈していましたが、5月現在はすっかり回復しています。ノボリとは現在隣室で見合い中ですが、ひとりで部屋に帰ると寂しそうに鳴いているときがあります。
ノボリはサンナと同じ2021年生まれ、子どもの日に生まれたことから鯉のぼりにちなみ名付けられました。すくすくと成長するにしたがって、どんどん父親のウテウテに顔が似てきています。無邪気で性格や行動にも子どもらしさが感じられていたのも、今ではすっかりオトナのオスの自覚が出てきて、自身に満ち溢れているように見受けられます。残念ながら父親のウテウテと闘争し、5月現在は再び同居を目指すべく見合いを続け、少しずつ歩み寄りが見られています。
現在ウテウテと一時分離し、見合いしなおしているノボリ。成長とともに力をつけてきたためか、ウテウテに強く当たってしまったようでした。ワオキツネザルの力関係の機微には注意しなければならないと実感した事件でした。
それぞれこの1年だけ見ても、大きな成長やそれにともなう様々な困難がありました。これからも数多くの試練や変化が待っていることでしょう。少しでもワオキツネザルらしく健やかに暮らしてもらえるよう、支え、見守っていきたいと思います。