ワオキツネザル

時は2018年4月、当園のワオキツネザルたちは2つの群れに分かれていました。ジョン(オス)、コナツ(メス)、ニイナ(メス)、ミク(メス)の4頭からなるA群と、ジュン(メス)、ジュリ(メス)、シイバ(メス)の3頭からなるB群です。点線囲みのは現在獣舎から離れている個体です。


それぞれの群れは大きな問題なく平和に過ごしていましたが、2018年6月、B群で事件が起こります。シイバとジュリが突然闘争し、ジュリがけがをしてしまったのです。これ以降、しばらく姉妹2頭は同居中止となり、母親のジュンと1頭ずつ交替しながら同居するようになりました。再び同居するため、姉妹同士の見合いや同居練習も進めましたが、闘争を繰り返してしまいます。それでも2019年春~夏、B群のジュリとシイバは練習を重ねながらどうにか日中展示場での同居ができるまで関係が回復しました。母親のジュンとともに、3頭の中で日ごとに組み合わせを変えながら、大きな問題なく過ごすことができていました。再びB群に異変が起きたのは2019年9月、ジュンが亡くなってしまいます。展示場でマムシに噛まれるという、事故による急死でした。これによりB群の残された2頭は均衡が再び崩れ闘争の繰り返しに戻ってしまい、再び分離を余儀なくされます。
一方その間A群では、2019年1月にジョンが老化のため入院となり、群れから離脱していました。この時点でA・B両群とも群れの体制が大きく変化しました。


ここから、ジュンを中心に関係を保っていたジュリ・シイバ姉妹が孤立しないよう、残されたA群3頭との見合い・同居練習が始まりました。ジュリとコナツ、ジュリとニイナ、コナツとシイバといったように、1頭対1頭の組み合わせからはじめてそれぞれの相性を確認し、徐々に頭数を増やすというやり方で地道に最適な組み合わせを探りました。2019年12月にはコナツ、ジュリ、ニイナの3頭は夜間も同居できる群れになります(図5)。一時はこの3頭にシイバも加えた4頭で生活できるようになりますが、ここでもシイバの喧嘩っ早さがあだとなり、翌2020年1月にはジュリとシイバが再び闘争し、しばしコナツ、ジュリ、ニイナの3頭と、単独のミク、シイバの3グループとなりました。


そんな中、2020年3月末にジョンに代わる新たな若オス、ウテウテがネオパークオキナワから来園します。次はウテウテが入ってまもなく、2020年4月から話を再開しましょう。一見ウテウテ参入により、やっと一層の安定をみせそうな展開ですが、まだまだ波乱は続きます。次回、お楽しみに!


入院前、群れで生活していた当時のコナツ。変化が激しい中まとめ役をしてくれていました。