動物病院だより

だんだん寒くなってきましたね。この時期出現し始める怖い病気をご存じですか?
「鳥インフルの時期がまた来てしまった・・」と獣医や飼育係を落胆させる、そう、高病原性鳥インフルエンザです。鳥インフルエンザウイルスの中でも感染力・致死率の高いウイルス株のことを高病原性鳥インフルエンザといいます。実はこの病気、家畜法定伝染病かつ人獣共通感染症でもあります。
鳥の種類によって感染しやすさが異なりますが、世界中の多くの鳥種で感染が報告されていて、特に家禽(ニワトリやアヒルなど)や猛禽類(タカなど)の感染リスク・致死率が高いです。養鶏場での発生が経済的にも問題となっていて、多くの鶏が感染と殺処分で命を落とします。国内のどこかで発生が起こった場合、すでに日本中どこで発生してもおかしくない状況になっています。そのため、ニュースなどで発生を報じられるたびに、不安を感じ、暗い気持ちになります。


なぜかというと、動物園で飼育している鳥たちにも感染する可能性があり、もしも動物園で発生してしまうと、感染拡大防止のため養鶏場と同様、少なからず殺処分せざる負えなくなる鳥たちが出てきてしまうことと、人や物流からも感染が周囲に広がることもあるので動物園を長期間閉めることになってしまうからです。そのようなことにならないように感染を防ぐ対策がとても大事になってきます。

  のいち動物公園で毎年行っている主な対策は、
  ・屋内施設に収容できる鳥は出来るだけ収容して野鳥との接触を避けること
  ・来園者や職員の靴底を消毒するために入口などで消毒マットを踏んでもらうこと
  ・園内を出入りする車にはタイヤ消毒を行ってもらうこと
  ・野生傷病鳥獣の受け入れを中止すること
   などがあります。


冬場、屋内施設に移動してしまい展示場で観察できなくなってしまう鳥たちが出てくることはとても申し訳ないのですが、コロナ対策でみなさんが巣ごもりして頑張っていたのと同様に、高病原性鳥インフルエンザという怖い病気から鳥たちを守るためと思ってご理解ご協力いただければと思います。
みなさんも弱っている野鳥に、むやみに近づいて触ったりしないように気を付けましょう。


 ※高病原性鳥インフルエンザ対策が始まると、以下のような状況になります。ご理解の程よろしくお願いします。
   展示できなくなる鳥たち:水鳥、アナホリフクロウ、セネガルショウノガン、エミュー、ロウバシガン
   屋内展示場での展示:ハシビロコウ、ジェンツーペンギン、メンフクロウ、オニオオハシ
   観覧から距離を取りつつ展示:フラミンゴ、フンボルトペンギン


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