動物病院だより

数年前の「ワンピイ」

4月21日にオスのマレーグマ「ワンピイ」が亡くなりました。29歳でした。ちょうど1年前、腎機能の低下で体調を崩し、その後徐々に体調が安定し、気候も暖かくなりやっとここ数か月、調子のいい日に短時間でしたが展示場にも行けるようになっていました。足腰の痛みもあり動きはゆっくりで、展示場では後ろ向きに移動することもありました。

4月初旬より急に食べなくなり、とうとう腎機能が破綻したのかと思いましたが、血液検査の結果、今度は肝臓が悪くなってしまったことがわかりました。できる範囲の治療や日々食べたいものを探して与えていましたが、どんどん状態が悪化し肝機能不全となりました。


展示場でのんびり過ごす「ワンピイ」

「ワンピイ」はここ数年、定期的に大好きなリンゴジュースを飲みながら爪切トレーニングをしていました。扉前にちょこんと座って格子に手足をかけてくれて爪切りを行っていましたが、後ろ足の爪を切る際に「もうちょっと前に来て」と声をかけると、座り姿勢のままちょっとずつお尻を手前にずらしてくれる仕草が可愛くて大好きでした。マレーグマはこちらの意図を汲み取るとても賢い生き物です。可愛い「ワンピイ」とは裏腹にマレーグマの爪は恐ろしく硬いのでいつも汗だくになりながら爪切り実施していました。おかげで爪が伸び過ぎて皮膚に刺さったりするようなこともなく、高齢で麻酔をかけて処置するリスクをできるだけ減らすことが出来ました。


可愛すぎる爪切り前の姿勢

朝の巡回で寝室に行くと、メスの「タオチイ」はいつも仰向けでゴロゴロして可愛かったですが、「ワンピイ」はいつもシャキッと伏せをして起きていて、展示場で寝ている姿とはまた違う格好良さがありました。


朝、寝起きのゴロゴロ「タオチイ」


早起きでいつもキリっと伏せ姿勢の「ワンピイ」

大好きな「タオチイ」が2021年10月に亡くなってからも色々な病気と闘いつつ、威厳を保って過ごしていた「ワンピイ」、本当に頑張りました。もう会えないことがとてもさみしいですが、「タオチイ」と「ワンピイ」の子どもたちが全国の動物園で活躍しているので、とても誇らしいです。


お茶目な「タオチイ」(左)と「タオチイ」のことが大好きな「ワンピイ」(右)


とても仲良し夫婦でした(手前:タオチイ、奥:ワンピイ)

ありがとう。


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